不動産登記

【司法書士が解説】不動産購入前に確認したい登記情報とは?後悔しないための重要チェックポイント

マイホームの購入や投資用不動産の取得は、多くの方にとって人生の中でも大きな取引の一つです。しかし、不動産の購入にあたっては、立地や価格、建物の状態だけでなく、「登記情報」の確認も非常に重要です。

不動産登記には、その不動産の権利関係や法的な状況が記録されています。購入前に登記情報を十分に確認しておかなければ、思わぬトラブルや追加費用が発生する可能性があります。

実際に司法書士へ寄せられるご相談の中にも、「購入後に権利関係の問題が判明した」「抵当権が残っていた」「土地の面積が説明と違っていた」といったケースが少なくありません。

今回は、不動産購入前に確認しておきたい登記情報について、司法書士の視点から詳しく解説します。


不動産登記とは

不動産登記とは、土地や建物の所在地や面積、所有者、担保権などの情報を法務局で管理し、公示する制度です。

不動産は高額な財産であるため、誰が所有しているのか、どのような権利が設定されているのかを第三者が確認できるようになっています。

司法書士は、不動産売買における所有権移転登記や抵当権設定登記などを取り扱う専門家として、登記情報の確認や手続きに深く関わっています。


なぜ不動産購入前に登記情報を確認する必要があるのか

不動産会社から説明を受けているから大丈夫と思われる方もいるかもしれません。

しかし、不動産の権利関係は最終的に登記簿によって確認することが重要です。

司法書士は売買手続きの際、必ず登記事項証明書を確認し、売主の権利関係や登記内容を調査します。

購入前に登記情報を確認することで、

  • 売主が本当に所有者か確認できる
  • 抵当権などの担保権の有無を確認できる
  • 差押えや仮登記の有無を確認できる
  • 土地や建物の内容を確認できる

といったメリットがあります。


登記事項証明書で確認できる内容

表題部を確認する

登記事項証明書の最初に記載されているのが表題部です。

表題部には、

  • 所在
  • 地番
  • 地目
  • 地積
  • 建物の種類
  • 構造
  • 床面積

などが記載されています。

司法書士は売買対象となる不動産と登記内容が一致しているかを必ず確認します。

例えば、建物の増築が行われているにもかかわらず登記が更新されていない場合には、表題部の内容と現況が異なることがあります。


土地の面積を確認する

不動産の価格は土地面積によって大きく左右されます。

登記簿上の面積と実際の測量面積が異なるケースもあるため注意が必要です。

特に古い土地では、登記簿面積と実測面積に差が生じていることがあります。

司法書士は必要に応じて測量図や地積測量図の確認を勧めることがあります。


地目を確認する

地目とは土地の利用目的を示すものです。

例えば、

  • 宅地
  • 山林
  • 雑種地

などがあります。

住宅を建築する予定で購入した土地が農地であった場合、農地転用手続きが必要になることがあります。

司法書士としても、地目は購入前に確認すべき重要なポイントの一つです。


権利部(甲区)で確認すべき事項

所有者が売主と一致しているか

甲区には所有権に関する情報が記載されています。

まず確認すべきなのは、登記簿上の所有者と売主が一致しているかどうかです。

司法書士は本人確認書類だけでなく、登記簿上の情報とも照合を行います。

特に相続によって取得した不動産では、相続登記が未了のまま売却しようとしているケースもあります。

購入前に司法書士が確認することで、こうしたリスクを防ぐことができます。


差押えの有無を確認する

甲区には差押えや仮差押えなどが記録されていることがあります。

差押えがされている不動産は、そのままでは安全な取引ができない可能性があります。

司法書士は売買決済前に最新の登記情報を取得し、差押え等の有無を確認します。


仮登記の有無を確認する

仮登記とは将来の本登記に備えて権利を保全するための登記です。

仮登記が存在する場合、後日第三者が権利を主張してくる可能性があります。

司法書士は仮登記の内容や抹消の有無を慎重に確認します。


権利部(乙区)で確認すべき事項

抵当権の有無を確認する

乙区には抵当権などの担保権が記録されています。

住宅ローンを利用している売主の場合、多くのケースで抵当権が設定されています。

通常は売買代金によってローンを完済し、決済当日に抵当権を抹消します。

司法書士は金融機関と連携し、抵当権抹消手続きを確認したうえで所有権移転登記を行います。


根抵当権が設定されていないか

事業用不動産では根抵当権が設定されていることがあります。

根抵当権は通常の抵当権よりも権利関係が複雑な場合があります。

司法書士は根抵当権の内容や抹消条件についても確認します。


地上権や賃借権の有無を確認する

土地によっては地上権や賃借権などの利用権が設定されていることがあります。

購入後に第三者の権利が判明すると、自由に利用できない可能性があります。

司法書士による事前確認が重要です。


公図や地積測量図も確認しよう

隣地との境界を確認する

登記簿だけでなく、公図や地積測量図の確認も重要です。

境界が曖昧な土地では、購入後に隣地所有者とのトラブルが発生することがあります。

司法書士は必要に応じて土地家屋調査士との連携を提案することがあります。


接道状況を確認する

建築基準法上、建物を建築するためには一定の道路に接している必要があります。

公図などを確認することで接道状況を把握できます。

司法書士としても、再建築の可否に関わる重要事項として確認を勧めています。


相続登記未了の不動産に注意

近年、相続登記未了の不動産が問題となっています。

登記簿上の所有者が何十年も前に亡くなっているケースもあります。

このような不動産では、

  • 相続人調査が必要
  • 相続登記が必要
  • 売買までに時間がかかる

といった問題が生じます。

司法書士は戸籍調査や相続登記手続きを通じて、売買可能な状態へ整備するサポートを行います。


不動産購入時に司法書士へ相談するメリット

権利関係を専門的に確認できる

登記簿の内容は一般の方には分かりにくい部分もあります。

司法書士であれば、登記情報を確認し、リスクの有無を判断できます。


安全な決済手続きをサポートできる

不動産売買では数千万円規模のお金が動くこともあります。

司法書士は、

  • 本人確認
  • 登記確認
  • 抵当権抹消確認
  • 所有権移転登記

を行い、安全な取引をサポートします。


購入後のトラブル防止につながる

購入前の段階で司法書士が登記情報を確認することで、多くのリスクを事前に把握できます。

結果として、安心して不動産を取得することができます。


まとめ

不動産購入では価格や立地だけでなく、登記情報の確認が欠かせません。

表題部では土地や建物の内容を確認し、甲区では所有権や差押えの有無を確認し、乙区では抵当権などの担保権を確認する必要があります。

また、公図や地積測量図、相続登記の状況なども重要なチェックポイントです。

<執筆者>
司法書士 齊藤 尚行
事務所:埼玉県さいたま市岩槻区東町二丁目8番2号