商業登記

【司法書士が解説】解散登記後でも会社は復活できる?継続手続きの全体像と注意点

はじめに

会社を解散する際には「解散登記」が必要ですが、場合によっては一度解散登記をした会社を再び継続したいと考えることもあります。
しかし、会社法や登記に関する知識がないまま手続きを行うと、トラブルや手続きの遅延が発生する恐れがあります。

そこで本記事では、司法書士が「解散登記された会社を継続するための手続きの流れ」と「注意点」をわかりやすく解説します。
司法書士事務所に依頼するメリットについても触れているため、会社経営者の皆様の参考になれば幸いです。


解散登記された会社とは?基本的な理解

解散登記の意味と会社の状態

会社法に基づき、会社を解散する際には法務局で「解散登記」を行う必要があります。
解散登記は会社が事業を終了し、清算手続きに入ることを対外的に示す法的手続きです。

この解散登記がなされると、会社は「清算会社」と呼ばれる状態に入り、通常の営業活動は停止します。
ただし、会社自体は清算結了登記が行われるまで法的に存続しており、清算人が債権者への対応や残余財産の処理などを進めていきます。

司法書士の役割とは?

司法書士は、会社の設立から解散、清算結了までの各種登記手続きを専門的に取り扱います。
特に解散登記後の会社継続のような複雑なケースでは、法律や登記の専門知識を活かして適切なサポートができます。

また、司法書士は登記書類の作成や提出だけでなく、会社内部の決議方法のアドバイスも行うため、安心して手続きを進められます。


解散登記後でも会社を継続できるケース

解散登記後でも以下のケースについては、会社継続をすることができます。

株主総会決議による解散 

株主総会の決議によって会社を解散した場合も清算結了するまでは、会社継続することができます。そのためには、改めて株主総会で会社継続の決議をし、会社継続登記をする必要があります。

みなし解散 

最後の登記から12年以上経過した株式会社は、法務局によって解散したものとみなされます。この場合、解散の登記が職権で行われます。みなし解散後は、会社は清算会社として存続しますので、事業を再開するには株主総会での会社継続決議、会社継続登記が必要です。ただし、みなし解散から3年を過ぎると会社継続はできなくなりますので注意が必要です。

定款による解散

 会社の解散事由や存続期間が定款で定められており、それに従って会社が解散した場合でも、清算結了するまでは、会社継続することができます。そのためには株主総会で会社継続の決議をし、会社継続登記をする必要があります。

なぜ司法書士への相談が重要か?

解散登記後の会社継続手続きは、法律的にも登記手続きとしても高度な専門知識が求められます。
特に、会社の状態や過去の手続き状況に応じて、最適な方法や申請書類が異なるため、司法書士のアドバイスが不可欠です。

誤った手続きを行うと、会社の法的地位に影響を及ぼしたり、手続きの再申請が必要になったりします。
司法書士が手続きを代理することで、そうしたリスクを回避し、スムーズに進めることができます。


解散登記された会社を継続するための手続きの流れ

1. 現状の登記事項と会社の状態を確認する

最初に法務局で現在の登記簿謄本を取得し、解散登記の内容や清算人の登記の有無、清算結了がされているかを確認します。
この調査によって、どのような手続きを進めるべきか判断できます。

司法書士は、この確認作業で見落としがちな点も把握し、的確に現状把握を行います。

2. 株主総会で継続決議を行う

会社を継続するためには、まず株主総会を招集して継続決議を行うことが必要です。この決議は、会社法で定められた特別決議にあたり、議決権を行使できる株主の過半数が出席し、そのうち出席者の3分の2以上の賛成を得る必要があります

また、会社が解散した際には、原則として取締役はその職を離れているため、会社継続時には新たに取締役を選任する決議も必須です。この際、解散前の取締役が引き続き就任しても構いませんし、まったく別の人物が選ばれても問題ありません。

さらに、定款に定められた手続きに従い、代表取締役の選定も行わなければなりません

3.法務局に登記申請する

会社の継続登記は、株主総会で継続決議を行った後、2週間以内に法務局へ申請することが義務付けられています。登記申請には、株主総会の議事録をはじめとした必要書類を揃え、登記申請書とともに提出しなければなりません。

さらに、継続登記の申請と合わせて、取締役や代表取締役の就任登記も同時に行う必要があります。解散時点では取締役会が解散しているため、継続後に取締役会設置会社として運営する場合には、その旨の登記申請も併せて行わなければなりません。

みなし解散の場合

みなし解散となっている会社は、解散時に清算人が選任されていません。
したがって、継続登記を行う際には、前提として、清算人および代表清算人の就任登記をする必要があります

定款に清算人の規定がある場合はそれに従いますが、特に定めがない場合は、みなし解散時の取締役および代表取締役が、それぞれ清算人と代表清算人として登記されるのが一般的です。

司法書士が書類作成から申請まで責任を持って対応し、不備のない申請をサポートします。

4. 関係官庁への届出や公告手続き

会社を再開した場合、税務署や都道府県税事務所、年金事務所など関係官庁への届出が必要です。

司法書士はこうした関連手続きについてもアドバイスし、必要に応じて他専門家と連携して対応します。


解散登記された会社を継続する際の注意点

解散状態での営業活動は原則禁止

会社が解散登記されている間は、会社は清算中の状態とされ、営業活動や新たな契約は原則できません。
これを破ると会社法違反となり、取締役の責任問題に発展する恐れがあります。

したがって、会社を継続登記をするまでは、事業再開は控えましょう。

登記手続きの正確さが重要

解散登記取消しや継続登記は複雑なため、登記申請書類に不備があると法務局から申請が却下されます。
これにより手続きが長期化し、会社の活動再開が遅れてしまうリスクがあります。

司法書士に依頼することで、このようなリスクを回避し、迅速な手続きが期待できます。

債権者や株主との調整が必要

解散後に会社を継続する場合、債権者や株主への説明・調整が重要です。
司法書士は法律的な観点から債権者対応も助言し、株主総会の決議に必要な手続きも支援します。


司法書士に依頼するメリット

専門的な法務知識で安心のサポート

司法書士は会社法や商業登記の専門家であり、最新の法令改正にも対応しています。
複雑な継続手続きを適切に案内し、法令違反を防止します。

手続きの効率化と確実性向上

司法書士に登記申請を任せることで、書類の不備や記載漏れが減り、法務局からの問い合わせもスムーズに対応できます。
結果として手続き期間の短縮が見込まれます。

総合的なサポート体制

司法書士は税理士や弁護士など他士業と連携し、会社の法務・税務・経営面を総合的に支援できます。
会社の状況に合わせた最善のプランニングを行い、問題解決に導きます。


よくある質問(Q&A)

Q1:解散登記後に事業を再開しても罰則はありますか?

A1:解散登記された会社は清算中の状態であり、営業活動は原則禁止です。違反すると法的責任が問われる可能性があるため、事業再開は司法書士と相談し、適切な手続きを経て行いましょう。

Q2:解散登記を間違えてしまった場合はどうすれば良いですか?

A2:誤って解散登記をしてしまった場合は、速やかに司法書士に相談し、解散登記の抹消手続、会社継続手続などを行うことが必要です。適切な手続きがなされれば、会社の継続は可能です。

Q3:解散登記が完了して清算結了もしてしまった会社は復活できますか?

A3:清算結了登記がされて会社が法的に消滅した場合は、同じ会社として復活はできません。新たに会社を設立する必要があります。


まとめ

解散登記された会社を再び継続することは可能ですが、会社法や登記法の専門知識を要するため、司法書士の支援が不可欠です。

解散登記の取り消しや継続決議、登記申請などの一連の手続きを司法書士に依頼すれば、確実かつスムーズに進められます。

会社の継続を検討中の方は、まずは司法書士事務所にご相談ください。法律に詳しい専門家が丁寧に対応し、最適な解決策をご提案いたします。

<執筆者>
司法書士 齊藤 尚行
事務所:埼玉県さいたま市岩槻区東町二丁目8番2号KUハイツ1階