商業登記

もう営業していない会社の後始末|司法書士が解説する会社をたたむための手続き

会社を設立したものの、事業をやめてから何年も経過している。店舗も事務所もなく、従業員もいない。取引もなく、実質的には「もう営業していない会社」になっている――。

このような会社をそのまま放置していませんか。

会社は、事業をやめただけでは自動的に消滅するわけではありません。法人として存在している以上、一定の手続きが必要になります。

特に、長期間営業していない会社については、解散・清算や登記の問題だけでなく、税務申告、債務、会社名義の財産、株主など、確認しなければならない事項が残っている場合があります。

今回は、司法書士の立場から、もう営業していない会社を整理する際に知っておきたいポイントを解説します。

もう営業していない会社でも法人としては残っている

「事業をやめたから会社もなくなった」と考えている方は少なくありません。

しかし、会社は営業活動を停止しただけでは消滅しません。

法人として会社を終了させるためには、原則として、会社を解散し、その後に清算手続きを行う必要があります。

司法書士にご相談いただくケースでも、「何年も営業していないので、会社を閉じたい」というご相談は珍しくありません。

営業していない期間が長いからといって、必ずしも手続きが不要になるわけではない点に注意が必要です。

会社を放置するとどうなる?

会社を放置していると、役員変更などの登記が長期間行われない状態になることがあります。

また、会社名義の預金、不動産、車両、売掛金などが残っている場合には、会社を終了させる前に、それらの財産を整理しなければなりません。

反対に、借入金や買掛金などの債務が残っている場合には、単純に会社を解散して終わりというわけにはいきません。

そのため、司法書士へご相談いただく際には、「営業していない」という事実だけでなく、会社の現在の状況を一つずつ確認することが重要です。

会社をたたむときの基本的な流れ

もう営業していない会社を正式に終了させる場合、一般的には「解散」と「清算」という手続きが必要になります。

まず会社の財産と借金を確認する

最初に確認したいのが、会社に財産や債務が残っていないかという点です。

会社名義の預金、不動産、車、備品、売掛金などがあれば、その処分や回収について検討します。

一方、金融機関からの借入金、取引先への未払い金、税金などが残っている場合には、債務の整理も必要になります。

この段階で、会社の財産や債務について司法書士だけでは判断できない問題が出てくることもあります。その場合には、税理士、弁護士などの専門家と連携して対応することになります。

株主総会で会社の解散を決める

通常の株式会社であれば、株主総会で解散について決議します。

解散すると、会社はそれまでの営業活動を終了し、残った財産や債務を整理する「清算」の段階に入ります。

そして、清算人を選任し、会社の清算事務を進めることになります。

解散・清算人の登記をする

会社を解散した場合には、解散の登記や清算人に関する登記が必要になります。

ここは司法書士がサポートできる代表的な手続きです。

長期間営業していなかった会社の場合、過去の登記が適切に行われているかを確認したうえで、現在の会社の状態に合わせて必要な登記を整理することが大切です。

清算が終わったら清算結了の登記

会社の財産や債務を整理し、清算事務が終了したら、最終的に清算結了の登記を行います。

この登記が完了することで、会社を法人として終了させる手続きが一区切りとなります。

つまり、「営業していないから放置する」のではなく、「営業を終了した会社を正式に閉じる」という考え方が重要です。

長期間放置していた会社は特に注意

長い間何もしていない会社の場合、「今さら手続きできるのだろうか」と心配される方もいます。

しかし、長期間放置していたからといって、直ちに会社を閉じられないということではありません。

むしろ、長期間放置しているからこそ、現在の登記内容や会社の財産、株主、役員などを確認することが重要です。

役員変更などの登記が残っていないか確認

会社の種類によっては、役員の任期が定められています。

そのため、営業をしていなくても、会社が存続している間は役員変更登記などが必要になる場合があります。

登記を長期間放置している場合には、過料の対象となる可能性もあります。

「会社が動いていないから登記も必要ない」とは限りません。

このような場合には、司法書士に現在の登記簿を確認してもらい、どのような登記が必要なのかを整理することをおすすめします。

休眠会社と解散した会社は同じではない

「営業していない会社なら休眠会社にしておけばいい」と考える方もいます。

しかし、休眠状態と会社を正式に終了させることは別の問題です。

会社を今後再び使用する可能性があるのか、それとも完全に事業を終了するのかによって、適切な対応は変わります。

将来再開するなら慎重に判断

一時的に事業を停止しているだけで、将来的に再開する予定があるのであれば、すぐに解散する必要はない場合もあります。

一方、今後会社を使用する予定がなく、事業を再開する見込みもないのであれば、会社を整理してしまうことも選択肢になります。

司法書士に相談する際には、「会社をどうしたいのか」という今後の予定を伝えることが大切です。

会社を閉じる前に確認したいこと

もう営業していない会社を整理するときは、次のような事項を確認しておきましょう。

会社名義の財産はないか

会社名義の預金、不動産、自動車、備品、売掛金などが残っていないか確認します。

借金や未払い金はないか

金融機関からの借入れだけでなく、取引先への未払い、税金などについても確認します。

株主や役員の状況はどうなっているか

株主が複数いる場合や、役員がすでに亡くなっている場合などは、手続きが複雑になることがあります。

過去の書類が残っているか

定款、株主総会議事録など、会社関係の書類が残っていれば、手続きの確認に役立ちます。

書類が見つからない場合でも、司法書士に相談することで、法務局の登記情報などから現在の状況を確認できる場合があります。

もう営業していない会社こそ司法書士へご相談ください

会社を閉じる手続きは、「営業していない」というだけでは判断できません。

会社の登記状況、役員、株主、財産、債務などを確認し、どのような方法で会社を整理するのが適切なのかを検討する必要があります。

特に、何年も放置している会社の場合、「何から手を付ければいいのかわからない」という状態になっていることもあります。

そのようなときは、一人で悩まず、まず司法書士に現在の会社の状態を確認してもらうことをおすすめします。

司法書士は、会社の解散・清算に関する登記手続きをはじめ、会社を整理するために必要な手続きについてご相談をお受けしています。

「もう営業していない」「今後も会社を使う予定がない」「会社をきちんと閉じたい」という場合には、早めに司法書士へご相談ください。

長年そのままになっている会社であっても、現在の状況を確認することで、必要な手続きが見えてくることがあります。

もう営業していない会社をそのまま放置するのではなく、会社の「最後の後始末」まできちんと行うことが大切です。

会社の解散・清算や各種登記についてお困りの場合は、司法書士が現在の会社の状況を確認したうえで、必要な手続きについてご案内します。

<執筆者>
司法書士 齊藤 尚行
事務所:埼玉県さいたま市岩槻区東町二丁目8番2号