相続

再婚した親の遺産相続で兄弟が揉めた事例と司法書士ができるサポート

再婚した親が亡くなったとき、遺産相続をめぐって兄弟間でトラブルが発生するケースは少なくありません。
本記事では、実際の相続トラブル事例を交えながら、司法書士がどのようにサポートできるのかを詳しく解説します。


はじめに:なぜ再婚家庭での相続は揉めやすいのか?

現代では再婚やステップファミリーが珍しくなくなってきました。
しかし、再婚家庭では相続人の関係が複雑になりやすく、感情的な対立や誤解が相続問題に発展することがあります。

たとえば、以下のような要因がトラブルの原因になります。

  • 前妻の子どもと後妻(およびその子)との関係が希薄
  • 被相続人が遺言を残していない
  • 生前贈与や扶養の有無が不公平感を生む
  • 誰がどれだけ遺産を受け取るか、法定相続分に不満がある

このような問題を回避するには、司法書士に相談して早期に対応することが非常に重要です。


【事例紹介】再婚した父の死後に兄弟で争いに発展

ある司法書士が対応した相続トラブルのケース

依頼者:Aさん(長男・前妻の子)
被相続人:父(再婚して10年後に死亡)
その他の相続人:後妻Bさん、異母弟Cさん(後妻との子)

被相続人である父には、前妻との間に生まれた子どもが2人、後妻との間に1人の子どもがいました。遺言書はなく、父の死亡後、相続人4人で遺産分割協議を行う必要がありました。

しかし、以下のような対立が起こりました。

  • 長男Aさんは、「父の面倒は見なかった後妻に財産を渡したくない」と主張
  • 後妻Bさんは、「私も家庭を支えてきた。法定相続分は主張する」と反論
  • 異母兄弟同士のコミュニケーションが取れず、話し合いがまとまらない

結果として、協議は長期化。家の名義変更もできず、相続登記が進まない状況となっていました。


司法書士が行った具体的な対応とは?

相続人調査と関係性の整理

司法書士がまず行ったのは、相続人の正確な調査(戸籍謄本の取得)です。
この調査によって、誰が法的に相続人であるのかを明確にします。

  • 前妻の子:Aさん、Dさん → 法定相続人
  • 後妻Bさん → 配偶者として法定相続人
  • Cさん(後妻の子) → 父の実子として法定相続人

これにより、相続人は合計4人であることが正式に確認されました。

相続関係説明図・財産目録の作成

相続トラブルをスムーズに解決するには、可視化が有効です。
司法書士は、家族構成と財産内容を整理した相続関係説明図財産目録を作成しました。

これにより、相続人全員が「自分が何を相続できるのか」「どんな財産があるのか」を客観的に理解できるようになりました。

遺産分割協議書の作成と登記申請

最終的に、司法書士が中立の立場で説明を重ね、感情的な対立を少しずつ解消。
一定の譲歩と調整のもと、遺産分割協議が成立しました。

司法書士は、遺産分割協議書を法的に有効な形で作成し、不動産の相続登記までワンストップで対応しました。


再婚家庭の相続問題で司法書士が果たす3つの役割

① 感情の衝突を避け、中立の立場で進行役に

相続では、相続人同士が直接話し合うと感情的になりやすいものです。
司法書士は中立の立場から冷静に話を整理し、法律に基づいたアドバイスを行います。

② 法的手続きの専門家として相続登記までサポート

  • 戸籍収集
  • 相続関係説明図の作成
  • 財産目録作成
  • 遺産分割協議書の作成
  • 相続登記申請

これらは司法書士の主要業務です。
被相続人名義の不動産を相続人の名義に変更するには、専門知識と正確な手続きが不可欠です。

③ 将来の争いを防ぐための予防法務も

司法書士は「争いになってから」だけでなく、「争いを防ぐ」ことも大切にしています。

  • 公正証書遺言の作成支援
  • 民事信託(家族信託)の活用
  • 生前贈与のアドバイス

こうした制度を使って、将来的な相続争いを予防することも司法書士の重要な役割です。


再婚家庭の相続を円満に進めるためのポイント

遺言書を作成しておく

被相続人が生前に遺言書(特に公正証書遺言)を作成しておけば、後々のトラブルの多くは回避できます。

司法書士に早めに相談する

遺産分割協議がこじれる前に、司法書士へ相談することで、無用な対立を避けることができます。
特に相続登記は2024年4月から義務化されており、不動産の名義変更を怠ると過料の対象にもなり得ます。


まとめ:相続問題は「争族」にしないために、司法書士とともに早期対応を

再婚家庭の相続では、当事者同士の信頼関係や感情が複雑に絡み合います。
しかし、正確な法律知識と中立的な支援があれば、兄弟間の対立も回避・解決可能です。

司法書士は、相続手続きだけでなく、感情面の調整や予防的な対策まで含めてサポートできます。
「うちは再婚家庭だから揉めるかも…」と少しでも不安を感じたら、まずは地元の司法書士に相談してみてください。


相続でお困りの方は、当司法書士事務所へ

当司法書士事務所では、再婚家庭・複雑な相続関係のご相談を多数承っております。
遺産分割協議や相続登記、遺言作成に関するご相談も、初回無料で対応可能です。

相続の「困った」は、司法書士に相談することで「安心」に変わります。

<執筆者>
司法書士 齊藤 尚行
事務所:埼玉県さいたま市岩槻区東町二丁目8番2号KUハイツ1階