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司法書士が「この書類、捨てないでください」と言いたくなるもの

家の片付けや書類整理をしていると、「これはもう古いから捨ててもいいだろう」と思う書類が出てくることがあります。

しかし、司法書士が相続や不動産、会社の手続きについて相談を受けていると、「その書類は捨てないでください」とお伝えしたくなることがあります。

普段は使う機会がなくても、いざ相続が発生したときや、不動産を売却するとき、会社の登記を変更するときなどに、過去の書類が重要な手がかりになることがあるためです。

今回は、司法書士の立場から、特に捨てずに保管しておきたい代表的な書類についてご紹介します。

不動産に関する書類は捨てないで

不動産を所有している方は、購入したときや相続したときの書類をできるだけ保管しておくことをおすすめします。

不動産は長期間所有することが多いため、「何十年も前の書類」が後になって必要になることもあります。

権利証・登記識別情報通知

司法書士が特に「捨てないで」とお伝えしたいものの一つが、権利証や登記識別情報通知です。

昔の不動産登記では「登記済権利証」が発行され、現在は「登記識別情報通知」が発行されるのが一般的です。

これらは、不動産の売却や贈与などの登記手続きで、重要な本人確認資料となる場合があります。

紛失したからといって不動産の権利そのものを失うわけではありませんが、紛失すると、司法書士による本人確認情報の作成など、別の手続きが必要になる場合があります。

「古い書類だから不要」と判断せず、大切に保管しておきましょう。

不動産の売買契約書や重要事項説明書

不動産を購入したときの売買契約書や重要事項説明書なども、すぐに処分しないほうがよい書類です。

いつ、誰から、どのような条件で不動産を取得したのかを確認する資料になるためです。

相続や不動産売却などの際、過去の経緯を確認する必要が生じることがあります。

司法書士に不動産登記を依頼する場合にも、こうした書類が手続きの参考になることがあります。

相続に関する書類も要注意

司法書士が相続の相談を受けた際、「昔の書類を処分してしまった」というケースがあります。

もちろん、すべての書類を永久に保管する必要があるという意味ではありません。

ただし、相続に関係する書類については、処分する前に一度確認することが大切です。

遺言書

自宅から遺言書らしきものが見つかった場合は、自己判断で捨てないようにしましょう。

自筆証書遺言や公正証書遺言など、遺言書にはいくつかの種類があります。

また、複数の遺言書が存在するケースもあります。

「古い遺言だから意味がない」と決めつけず、相続が発生した場合には、まず司法書士などの専門家に相談しましょう。

戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍

過去の相続で取得した戸籍謄本や除籍謄本、改製原戸籍なども、すぐに捨てないほうがよいでしょう。

相続登記では、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を確認するなど、相続人を確定するための資料が必要になることがあります。

過去に取得した戸籍が、そのまま次の相続手続きに使用できるとは限りません。

それでも、家族関係や過去の相続関係を確認する資料として役立つ場合があります。

過去の相続に関する書類

遺産分割協議書、相続関係説明図、不動産の登記事項証明書など、過去の相続に関する書類も保管しておくと安心です。

後になって別の相続が発生した場合、以前の相続がどのように行われたのかを確認する必要が生じることがあります。

司法書士が相続登記を進める際にも、過去の相続資料が手続きの重要な手がかりになることがあります。

会社を経営している方は会社関係の書類にも注意

司法書士は、個人の相続や不動産登記だけでなく、会社・法人の登記手続きも取り扱います。

会社を経営している方の場合、古い会社関係書類を安易に処分しないことも重要です。

定款

会社の定款は、その会社の基本的なルールを定めた重要な書類です。

会社の目的や機関設計、株式に関する事項などが記載されています。

会社設立後に定款変更をしている場合には、古い定款と現在の定款の内容が異なることもあります。

司法書士に会社の登記手続きを依頼するときにも、定款の確認が必要になることがあります。

株主総会議事録など

株主総会議事録や取締役会議事録なども、会社の重要な記録です。

過去に役員を選任した経緯や、会社についてどのような決議をしたのかを確認する必要が生じたときに役立ちます。

「何年も前の議事録だから必要ない」と考えず、会社の重要書類として整理しておくと安心です。

「何の書類か分からないもの」も捨てる前に確認

書類を整理していると、「これは何の書類なのか分からない」というものが出てくることがあります。

このような書類こそ、すぐに捨てるのではなく、一度確認することをおすすめします。

例えば、登記所から届いた通知、古い不動産関係書類、相続に関する資料などは、見た目だけでは重要性が判断できないことがあります。

司法書士に相談すれば、その書類が不動産登記や相続、会社登記などと関係するものなのか、確認するための手がかりになります。

司法書士が「捨てないで」と言う理由

司法書士が古い書類を大切に保管するようおすすめするのには理由があります。

相続や不動産の手続きでは、「現在の状況」だけでなく、「過去に何があったのか」を確認しなければならないことがあるからです。

例えば、不動産をいつ取得したのか、過去の所有者は誰だったのか、相続人は誰なのか、以前の相続でどのような手続きが行われたのかなど、現在の書類だけでは分からない情報があります。

そんなとき、何年も前に作成された書類が重要な手がかりになることがあります。

書類を捨てる前に司法書士へご相談ください

書類を整理することは大切ですが、必要な書類まで処分してしまうと、後になって確認や手続きに時間がかかることがあります。

特に、権利証・登記識別情報、遺言書、戸籍関係書類、過去の相続資料、不動産の契約書、会社の定款や議事録などは、安易に捨てないことをおすすめします。

もちろん、すべての書類を永久に保存する必要があるわけではありません。

「これは捨てても大丈夫だろうか」と迷ったときは、処分する前に司法書士へご相談ください。

司法書士は、相続登記、不動産登記、会社・法人登記など、さまざまな手続きを通じて、書類の内容を確認しています。

書類整理で大切なのは、「古いから捨てる」のではなく、「将来の手続きに必要になる可能性がないか」を確認してから処分することです。

<執筆者>
司法書士 齊藤 尚行
事務所:埼玉県さいたま市岩槻区東町二丁目8番2号