相続

司法書士がよく受ける相続質問10選|相続登記の疑問を専門家がわかりやすく解説

「相続登記っていつまでにしないといけないの?」「費用はどのくらいかかる?」
司法書士事務所には、相続や相続登記に関する質問が毎日のように寄せられます。

この記事では、司法書士が実際によく受ける相続登記に関する質問10選を、専門家の視点でわかりやすく解説します。
これから相続登記を検討している方、まだ何も手をつけていない方にとっても、実践的な内容です。


相続登記に関するよくある質問10選


質問① 相続登記は義務になったって本当ですか?

はい、相続登記は2024年4月から義務化されました。
相続により不動産を取得した人は、相続が発生してから3年以内に相続登記を申請しなければなりません。
怠ると、正当な理由がない限り10万円以下の過料(罰金)の対象となります。

司法書士に早めに相談することで、戸籍の収集や書類作成を確実に進められ、期限内に相続登記を完了できます。


質問② 相続登記をしないとどうなりますか?

相続登記をしないと、不動産の名義が亡くなった方のままになり、売却・担保設定・贈与などの取引ができなくなります。
さらに、相続人が亡くなって代襲相続が発生すると、関係者が増え、登記が非常に複雑化します。

司法書士が現場でよく見るケースでは、「10年以上放置して相続人が20人以上になった」ということも。
手続きは後回しにせず、早めの相続登記がトラブル防止の鍵です。


質問③ 相続登記は自分でもできますか?

理論上はできますが、実務上は司法書士に依頼するのが一般的です。
相続登記には、戸籍謄本の収集、法定相続人の確定、遺産分割協議書の作成、登記申請書の作成など、法律知識と実務経験が必要です。

書類の不備や相続人の特定ミスで登記が却下されることもあります。
司法書士に依頼すれば、ミスのない申請と迅速な相続登記が可能です。


質問④ 相続登記に必要な書類は何ですか?

相続登記に必要な主な書類は以下のとおりです ※遺言書がなく、相続人に子供がいる場合

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 被相続人の戸籍附票又は住民票除票
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 固定資産評価証明書又は固定資産税の納税通知
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の印鑑証明書 など

司法書士は、これらの書類の収集や作成を代行できます。


質問⑤ 相続登記にかかる費用はいくらくらいですか?

相続登記の費用は、

  • 登録免許税(固定資産評価額×0.4%)
  • 司法書士報酬(通常7万〜10万円前後)

が主な内訳です。

不動産が複数ある場合、相続人が多い場合、戸籍謄本等を司法書士が取得代行する場合は費用が増えることもあります。
司法書士報酬は明確に見積もりが出るので、事前に相談しておくのが安心です。
費用対効果の面でも、専門家に任せるメリットは大きいでしょう。


質問⑥ 相続登記をするタイミングはいつがいいですか?

相続登記は、相続が発生したらなるべく早めに行うことが重要です。
法務局への申請自体に期限はありませんが、義務化後は3年以内に申請しないと過料の対象となります。

また、相続人が多いほど手続きが複雑になるため、相続人全員が健在で話し合いができるうちに進めるのがベストです。
司法書士は、早期相談により最適なタイミングと方法を提案してくれます。


質問⑦ 遺言書がある場合でも相続登記は必要ですか?

はい、遺言書があっても相続登記は必要です。
遺言書は「誰が何を相続するか」を示す書類であり、実際に不動産の名義を変更するには登記申請が必要になります。

司法書士は、遺言書の内容を確認し、登記手続きに必要な書類を整えて法務局へ申請します。
特に自筆証書遺言の場合、家庭裁判所での検認手続きが必要となります。


質問⑧ 相続登記はオンラインでできますか?

はい、相続登記のオンライン申請が可能です。
法務局では登記の電子申請が普及しており、電子署名を利用して手続きが行えます。

司法書士はオンライン申請に対応しているため、遠方の不動産や他県の登記でもスムーズに対応できます。
書類の提出や印鑑証明書の扱いも電子化されつつあり、時間と手間を大幅に削減できます。


質問⑨ 共有名義のままにしておいても問題ないですか?

相続登記を共有名義で行うことは可能ですが、将来的なトラブルの原因になります。
共有者の1人が亡くなれば、その持分をさらに相続登記する必要があり、複雑さが増していきます。

司法書士としては、将来の争いを防ぐために「単独名義への変更」や「持分の整理」を早めに行うことをおすすめします。
共有は便利なようでいて、実はリスクの高い形態です。


質問⑩ 相続登記が終わった後にやるべきことはありますか?

相続登記が完了したら、次の手続きも忘れずに行いましょう。

  1. 公共料金・郵便物などの名義変更
  2. 相続税の申告(必要な場合)

司法書士は、登記完了後も税理士や行政書士と連携して、相続手続きをトータルサポートします。
相続登記をゴールではなく「スタート」として考えることが大切です。


司法書士に相続登記を相談するメリット

相続登記は法律・税務・家族関係が絡み合う複雑な手続きです。
司法書士に依頼することで、次のようなメリットがあります。

  • 登記のミスや却下を防げる
  • 戸籍や書類の収集を代行してもらえる
  • 登記後の手続きまでサポートしてもらえる
  • 将来の相続対策も相談できる

相続登記をスムーズに行うことは、将来のトラブルを防ぎ、家族全員の安心につながります。


まとめ|相続登記の疑問は司法書士へ早めに相談を

相続登記には多くのルールと手続きがあり、個人で調べるだけでは不安が残ります。
司法書士は、相続登記に関する疑問を一つひとつ解消し、最適な方法で確実に登記を完了させる専門家です。

相続は「いつか」ではなく「今」準備することが大切です。
不動産の名義変更や登記に関して疑問や不安がある方は、ぜひ司法書士にご相談ください。
経験豊富な司法書士が、あなたの相続登記を確実にサポートいたします。

<執筆者>
司法書士 齊藤 尚行
事務所:埼玉県さいたま市岩槻区東町二丁目8番2号KUハイツ1階