相続

国際結婚と相続で注意すべきポイントとは?司法書士がわかりやすく解説

国際結婚が珍しくなくなった現在、日本人と外国籍配偶者との家庭において「相続」の問題は非常に重要になっています。特に、被相続人や相続人の国籍、居住地、財産の所在国が複数にまたがる場合、日本国内だけの相続とは異なる法律問題が発生します。

相続手続きは、戸籍収集や遺産分割協議だけでも複雑ですが、国際結婚が関係するケースでは、外国法の確認や翻訳、在留資格、海外資産への対応など、専門的な知識が必要となる場面が少なくありません。

このような場面で重要になるのが、相続登記や遺言、遺産承継業務に強い司法書士への相談です。本記事では、国際結婚と相続における基本的な考え方や注意点について、司法書士の視点から詳しく解説します。


国際結婚における相続の基本ルール

相続には「どこの国の法律」が適用されるのか

国際結婚における相続では、まず「準拠法」が問題になります。準拠法とは、どこの国の法律に従って相続を処理するかという考え方です。

日本では、「法の適用に関する通則法」により、原則として被相続人の本国法が適用されます。つまり、日本人が亡くなった場合には日本法、外国籍の方が亡くなった場合にはその国の法律が適用される可能性があります。

例えば、配偶者が外国籍であっても、亡くなった方が日本国籍であれば、日本の民法に基づいて相続手続きを進めることが一般的です。しかし、外国法の内容確認が必要になるケースもあり、司法書士による事前確認が重要になります。

日本国内の不動産には相続登記が必要

被相続人が日本国内に不動産を所有している場合、相続登記が必要です。たとえ相続人が海外在住であっても、日本の不動産については日本国内での相続登記手続きが必要になります。

2024年から相続登記が義務化されたため、正当な理由なく放置すると過料の対象となる可能性があります。国際結婚家庭では、海外在住の相続人との連絡や書類取得に時間がかかることも多いため、早期に司法書士へ相談することが大切です。


国際結婚の相続でよくあるトラブル

戸籍や証明書の取得が難しい

日本の相続手続きでは戸籍謄本が必要になります。しかし、外国籍の相続人の場合、日本の戸籍制度が存在しないため、出生証明書や婚姻証明書などを外国から取得しなければならないことがあります。

さらに、外国語で作成された書類には翻訳文が必要になるケースもあります。

司法書士は、相続登記に必要な書類の整理や不足書類の確認を行い、スムーズな相続手続きをサポートします。

遺産分割協議が進まない

相続人が海外に居住している場合、時差や言語の問題によって遺産分割協議が進まないことがあります。

また、国によっては「印鑑証明書」に相当する制度が存在しないため、日本式の書類作成が難航することもあります。

司法書士は、海外居住者向けの署名証明や宣誓供述書など、代替手続きの提案を行うことが可能です。


国際結婚で司法書士に相談するメリット

相続登記を円滑に進められる

司法書士は不動産登記の専門家です。相続による名義変更手続きを適切に進めることで、将来的な不動産売却や二次相続のトラブルを防ぐことができます。

特に国際結婚では、外国籍相続人への対応経験がある司法書士に依頼することで、書類不備や手続き遅延を防ぎやすくなります。

外国語書類への対応が可能

国際相続では、英文をはじめとする外国語書類が必要になることがあります。

司法書士事務所によっては、翻訳サポートや提携翻訳者の紹介を行っているところもあり、依頼者の負担軽減につながります。

生前対策の相談もできる

国際結婚では、相続発生後よりも「生前対策」が重要です。

例えば、以下のような対策が有効です。

  • 遺言書作成
  • 家族信託
  • 不動産の共有整理
  • 生前贈与
  • 相続人調査の事前準備

司法書士は、これらの法務面を総合的にサポートできます。


遺言書がないとトラブルになりやすい

国際結婚家庭では、文化や法律の違いによって相続認識が異なることがあります。

例えば、日本では配偶者に法定相続権がありますが、国によっては考え方が異なる場合があります。

そのため、遺言書を作成しておくことで、相続人間のトラブル予防につながります。

司法書士は、自筆証書遺言や公正証書遺言の作成支援を行っています。


国際結婚と相続税の注意点

海外在住でも日本の相続税が発生する場合がある

被相続人や相続人の住所、国籍、財産所在地によって、日本の相続税が課税される可能性があります。

特に、日本国内不動産を所有している場合には注意が必要です。

司法書士は税務申告自体は行いませんが、税理士と連携しながら相続手続きを進めることができます。

二重課税の問題

海外でも相続税が課税される場合、二重課税の問題が生じることがあります。

各国間の租税条約や外国税額控除の検討が必要になるため、専門家チームによる対応が望ましいケースもあります。


国際結婚の相続は早めに司法書士へ相談を

国際結婚における相続は、日本国内だけの相続よりも複雑になる傾向があります。

  • 外国籍相続人への対応
  • 海外書類の取得
  • 相続登記義務化への対応
  • 遺言書作成
  • 海外資産の整理

こうした問題を放置すると、相続手続きが長期化し、家族間トラブルへ発展する可能性もあります。

司法書士へ早めに相談することで、必要書類や手続きの流れを整理し、スムーズな相続対応が可能になります。

特に国際結婚では、「まだ大丈夫」と思っていても、実際に相続が発生すると予想以上に時間と労力がかかることがあります。

将来の安心のためにも、国際相続に詳しい司法書士へ事前相談を検討してみてはいかがでしょうか。

<執筆者>
司法書士 齊藤 尚行
事務所:埼玉県さいたま市岩槻区東町二丁目8番2号