商業登記

本店移転の登記手続きと必要書類について司法書士が解説

会社の本店を移転する際には、法務局への登記手続きが必要です。適切な手続きを怠ると、罰則が科される可能性もあるため注意が必要です。

この記事では、司法書士が関与する場面や、登記の流れ、必要書類、注意点についてわかりやすく解説します。これから本店を移転しようと考えている経営者の方や、手続きに不安のあるご担当者様に役立つ内容となっています。


本店移転とは?

本店移転とは、会社の本社機能の所在地を変更することをいいます。登記上の「本店」は、法人の住所として法的に登録されている場所を指し、税務・行政・契約など様々な場面で基準となる重要な情報です。

本店移転の種類

本店移転には、大きく分けて以下の2つのパターンがあります。

  1. 同一法務局管轄内の移転
  2. 異なる法務局管轄への移転

この区分によって、登記手続きの内容や必要書類が異なるため、事前に確認しておくことが重要です。司法書士はこの点も見極めて、適切な手続きをサポートします。


本店移転に伴う登記手続きの流れ

本店を移転するには、会社の意思決定をした上で、登記手続きを行う必要があります。具体的な流れは以下の通りです。

① 定款の確認・変更

定款に記載されている本店所在地と異なる場所へ移転する場合、定款変更の手続きが必要になります。通常、株主総会での特別決議が求められます。司法書士は、定款の文言確認から、変更登記までトータルで対応可能です。

② 取締役会の開催・取締役の過半数の一致

移転場所の決定には、取締役会や取締役の過半数の一致が必要です。会社法の規定に則った手続きを行うことが重要です。

司法書士は、議事録の作成や法的な手続きの正当性をチェックする役割も担います。

③ 登記申請の準備

本店移転の登記は、移転日から2週間以内に申請しなければなりません。期間を過ぎると、過料が科される可能性があるため注意しましょう。


登記申請に必要な書類一覧

本店移転に際しては、以下のような書類が必要です。司法書士に依頼することで、書類の不備やミスを防ぐことができます。

同一管轄内の移転の場合

  • 登記申請書
  • 取締役会議事録、株主総会議事録、取締役の過半数の一致を証する書面
  • 株主リスト(株主総会議事録が必要な場合)
  • 委任状(司法書士に依頼する場合)

異なる管轄への移転の場合

  • 上記に加えて新管轄分の登記申請書
  • 上記に加えて新管轄分の委任状(司法書士に依頼する場合)

司法書士は、これらの複雑な手続きを一括代行できるため、手間や時間を大幅に削減できます。


本店移転登記にかかる費用

登記費用は、大きく分けて「登録免許税」と「司法書士報酬」に分かれます。

登録免許税

  • 同一管轄内の移転:3万円
  • 他管轄への移転:6万円

この登録免許税は法務局に納める税金であり、司法書士とは別にかかる費用です。

司法書士報酬

司法書士の報酬は、事務所により異なりますが、おおよそ3万円〜5万円程度が一般的です。

移転の複雑さや、法人の規模、書類の作成量により変動するため、まずは無料相談を利用して見積もりを取ることをおすすめします。


司法書士に依頼するメリット

本店移転登記を司法書士に依頼することで、さまざまなメリットがあります。

法的リスクの回避

会社法や不動産登記法に精通した司法書士が対応することで、法的な不備や手続きミスを回避できます。

書類作成と提出の手間が省ける

本店移転登記には、正確な議事録や申請書の作成が必要です。司法書士に依頼することで、これらの作成から提出までワンストップで対応できます。

タイトなスケジュールにも対応可能

移転日から登記申請までには期限があります。司法書士なら、スピード対応にも柔軟に応じることができ、遅延による罰則リスクを回避できます。


よくあるご質問(Q&A)

Q:本店を移転したのに登記を忘れていました。どうなりますか?

A:期限内に登記を行わない場合、100万円以下の過料が科される可能性があります。すぐに司法書士にご相談ください。

Q:自宅を本店にすることは可能ですか?

A:可能です。ただし、賃貸物件の場合は賃貸契約上の制限や、近隣への配慮も必要です。

Q:本店移転と同時に役員変更もしたいのですが、まとめてできますか?

A:はい、可能です。複数の登記を同時に申請することにより手数料が割安になる場合もあります。ぜひ司法書士にご相談ください。


まとめ:司法書士の専門知識を活用してスムーズに本店移転を

本店移転の登記は、見落としやすいポイントも多く、正確な手続きが求められます。司法書士に依頼することで、安心・確実な登記申請が可能となり、経営者の皆さまは本業に専念することができます。

当事務所では、本店移転に関する無料相談を随時受け付けております。司法書士による丁寧なサポートで、貴社の大切な法的手続きをスムーズに進めましょう。

<執筆者>
司法書士 齊藤 尚行
事務所:埼玉県さいたま市岩槻区東町二丁目8番2号KUハイツ1階