親が亡くなると、精神的な負担の中でさまざまな手続きを進めなければなりません。
特に「相続」は、期限がある手続きも多く、何から始めればいいのかわからず困ってしまう方が非常に多いです。
実際、相続の相談では、
- 相続手続きは何から始めればいい?
- 相続人は誰になる?
- 相続放棄はいつまで?
- 相続登記は必要?
- 銀行口座はどうなる?
といった疑問がよく寄せられます。
相続は一生のうち何度も経験するものではないため、突然の出来事に戸惑うのは当然です。
この記事では、「親が亡くなったら最初にやること」をテーマに、相続の流れや必要な手続きをわかりやすく解説します。
親が亡くなった直後にまず行うこと
死亡届の提出
親が亡くなった場合、まず必要になるのが死亡届の提出です。
通常は病院から死亡診断書を受け取り、葬儀社が手続きをサポートするケースが多くあります。
死亡届は、亡くなったことを公的に証明する重要な書類であり、相続手続きにも大きく関係します。
相続では、戸籍や死亡の記録が必要になるため、書類は大切に保管しておきましょう。
葬儀や火葬の手配
親族への連絡や葬儀の準備も必要になります。
この段階では相続について考える余裕がないかもしれませんが、後の相続手続きに備えて、
- 預金通帳
- 不動産関係書類
- 保険証券
- 遺言書
などの保管場所を確認しておくと安心です。
相続では財産調査が重要になるため、早めの確認が役立ちます。
相続で最初に確認したいポイント
遺言書があるか確認する
相続で最初に重要なのが、遺言書の有無です。
遺言書があるかどうかで、相続手続きの進め方が大きく変わります。
特に、
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
のどれなのか確認する必要があります。
相続人同士で勝手に開封してはいけないケースもあるため、慎重に対応しましょう。
相続人を確認する
相続では、「誰が相続人になるのか」を確定する必要があります。
配偶者や子どもだけでなく、
- 兄弟姉妹
- 代襲相続人
- 前婚の子ども
などが関係するケースもあります。
そのため、相続では戸籍収集が非常に重要です。
相続財産を調査する
預貯金の確認
相続では、銀行口座の確認が必要です。
親が亡くなったことを金融機関が把握すると、口座が凍結されることがあります。
そのため、
- どの銀行を利用していたか
- 定期預金があるか
- ネット銀行を使っていたか
などを確認しましょう。
相続手続きでは残高証明書を取得するケースもあります。
不動産の確認
相続財産の中でもトラブルになりやすいのが不動産です。
特に、
- 実家
- 空き家
- 賃貸物件
- 農地
などがある場合、相続登記が必要になります。
2024年から相続登記が義務化されたため、不動産相続を放置するリスクは高まっています。
借金や負債の確認
相続では、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も引き継ぎます。
そのため、
- 借入金
- ローン
- 保証債務
- 未払い税金
などの確認が必要です。
負債が多い場合、相続放棄を検討するケースもあります。
相続放棄には期限がある
相続放棄は3か月以内
相続で特に注意したいのが相続放棄の期限です。
相続放棄は、「自己のために相続があったことを知った日から3か月以内」に家庭裁判所へ申述する必要があります。
期限を過ぎると、原則として相続を承認したものと扱われます。
そのため、相続財産に不安がある場合は早めに調査を進めることが重要です。
勝手に財産を処分しない
相続放棄を考えている場合、遺産を処分すると単純承認と判断される可能性があります。
たとえば、
- 預金を使う
- 車を売却する
- 不動産を処分する
などは慎重に判断する必要があります。
相続では「知らずに手続きを進めてしまった」というケースも多いため注意が必要です。
相続で必要になる主な手続き
銀行の相続手続き
相続では、金融機関ごとに手続きが必要です。
一般的には、
- 戸籍謄本
- 遺産分割協議書
- 印鑑証明書
などが必要になります。
銀行によって必要書類が異なるため、事前確認が重要です。
相続登記
不動産を相続した場合、法務局で相続登記を行います。
相続登記を放置すると、
- 売却できない
- 名義変更できない
- 相続人が増えて複雑化する
などの問題が発生します。
最近では、相続登記義務化により関心が高まっています。
相続税の申告
相続税が発生する場合、相続開始から10か月以内に申告が必要です。
ただし、すべての相続で相続税が発生するわけではありません。
基礎控除を超えるかどうか確認する必要があります。
相続で家族トラブルを防ぐために大切なこと
相続人同士で情報共有する
相続トラブルの原因として多いのが、
- 財産内容がわからない
- 一部の相続人だけが把握している
- 話し合いが進まない
というケースです。
相続では、透明性のある情報共有が重要です。
感情的な対立を避ける
相続はお金だけでなく感情の問題も絡みます。
特に不動産相続では、
- 実家をどうするか
- 誰が住むか
- 売却するか
などで意見が対立しやすくなります。
早い段階で冷静に話し合うことが大切です。
相続で「放置」が危険な理由
名義変更が複雑になる
相続を長期間放置すると、相続人が増え、手続きが複雑化します。
たとえば、親の相続を放置したまま次の世代へ相続が発生すると、
- 相続人が10人以上になる
- 連絡が取れない相続人がいる
- 遺産分割協議がまとまらない
などの問題が発生することがあります。
空き家問題につながる
相続した実家を放置すると、空き家問題につながるケースがあります。
管理されない不動産は、
- 固定資産税
- 老朽化
- 近隣トラブル
などの問題を引き起こす可能性があります。
相続で困ったら早めの相談が大切
相続は、戸籍収集、不動産名義変更、銀行手続きなど、想像以上にやることが多くあります。
さらに、
- 相続放棄
- 遺言書
- 相続税
- 不動産相続
など、専門知識が必要になる場面も少なくありません。
そのため、「まだ大丈夫」と放置せず、早めに相続手続きを進めることが重要です。
まとめ|親が亡くなったら相続手続きを早めに進めよう
親が亡くなった後は、葬儀だけでなく相続手続きも進めなければなりません。
特に相続では、
- 相続人調査
- 財産調査
- 相続放棄
- 相続登記
- 銀行手続き
など、多くの対応が必要になります。
相続には期限がある手続きも多く、放置すると将来的なトラブルにつながる可能性があります。
「何から始めればいいかわからない」という場合でも、まずは相続財産と相続人の確認から始めることが大切です。
早めに相続について整理することで、家族間トラブルや手続きの負担を軽減しやすくなります。
<執筆者>
司法書士 齊藤 尚行
事務所:埼玉県さいたま市岩槻区東町二丁目8番2号