不動産の登記手続きにおいて、「仮登記の抹消」はどのように行うべきなのでしょうか。
このページでは、仮登記の抹消申請における共同申請の必要性と、例外的に単独で可能なケースについて、司法書士の視点でわかりやすくご説明します。
仮登記とは? 〜順位を確保する制度〜
なぜ仮登記をするのか?
登記制度には、「登記の先後関係」が非常に重要な意味を持ちます。
原則として、登記を早く済ませた方が、他の第三者に対して優先的に権利を主張できるという「対抗力」があるからです。
そのため、たとえば不動産の売買契約が締結されているのに、必要書類が未提出で本登記ができないような状況では、「仮登記」によって登記の順位を仮に確保しておくことができます。
仮登記の抹消とは?
仮登記の抹消とは、その仮登記の効力を取り消す手続きのことを指します。
登記名義人(たとえば買主)がその権利を放棄したり、契約が白紙となったりした場合などに、抹消が検討されます。
仮登記の抹消は共同申請が基本
登記権利者・登記義務者の双方での申請が原則
仮登記の抹消を行う場合、原則として登記権利者と登記義務者が共同で申請する必要があります。
これは、登記名義人だけで一方的に効力を消すことを防ぐための仕組みです。
ただし、すべてのケースにおいて共同申請が必要とは限りません。
一定の条件を満たす場合には、仮登記の抹消を単独で行うことも可能です。
単独で仮登記を抹消できるケースとは?
登記義務者の承諾がある場合
以下のような場合には、仮登記の名義人が単独で抹消登記を申請することができます。
ケース1:義務者の承諾を証明する書類がある場合
たとえば、売主が「仮登記を抹消してよい」と承諾しており、その意思を確認できる書面などを提出すれば、買主側が単独で抹消申請を行うことができます。
ここで重要なのは、承諾の事実を証明できる書類が必要であるという点です。
単なる口頭の同意では認められません。
裁判所の判断による場合
ケース2:仮登記の抹消を命じる判決などがある場合
もう一つの例外は、裁判所の処分によって仮登記の抹消が命じられている場合です。
この場合、決定書の正本を添付することで、登記名義人が単独で抹消登記を申請できます。
たとえば、契約の無効や解除を巡って争われた結果、仮登記の抹消が妥当と判断されたケースなどが該当します。
まとめ:原則は共同申請、例外として単独申請
仮登記の抹消登記は、基本的には登記権利者・登記義務者の共同申請が必要です。
しかし、
- 登記義務者の承諾を証明できる場合
- 裁判で抹消が命じられた場合
といった明確な要件を満たす場合に限り、単独申請が可能となります。
仮登記や抹消手続きでお困りの方へ
仮登記に関する手続きは、専門的な知識が求められる場面が多くあります。
誤った手続きや書類の不備によって、思わぬトラブルにつながる可能性もあります。
当事務所では、仮登記の申請や抹消、その他不動産登記に関するご相談を随時受け付けております。
お困りの際は、お気軽にお問い合わせください。
<執筆者>
司法書士 齊藤 尚行
事務所:埼玉県さいたま市岩槻区東町二丁目8番2号KUハイツ1階