新築の登記とは?必要な理由とタイミングを解説
マイホームを新築された方の多くが「登記って何?」「いつすればいいの?」と疑問に思われます。この記事では、新築住宅を建てたときに必要となる登記の種類や理由、そして適切なタイミングについて、司法書士の立場からわかりやすくご説明いたします。
新築の登記とは「建物を公的に登録する手続き」です
まず、「新築の登記」とは一般的に新しく建てた建物について法務局に登録(登記)する手続きを指します。建物を建てただけでは、まだその存在は公的に登録(登記)されません。そこで行うのが、「建物表題登記」と「所有権保存登記」という2つの登記です。
- 建物表題登記:建物が完成したことを法務局に報告し、建物の物理的情報(所在地・構造・面積など)を登録する手続き。
- 所有権保存登記:建物の所有者を正式に登録する手続き。住宅ローンを利用する場合、これが完了しないと抵当権設定ができません。
これらをまとめて「新築の登記」と呼ぶことが多く、どちらも新築後には必ず必要な手続きです。
新築の登記はいつ行うべき?タイミングを解説
表題登記は「建物完成後1か月以内」が原則
建物表題登記は、建物完成後1か月以内に申請する義務があります(不動産登記法第47条)。これを怠ると10万円以下の過料が科される可能性もありますので、特に注意が必要です。
所有権保存登記は表題登記完了後
所有権保存登記は、表題登記完了後に申請します。住宅ローンを利用する場合は、併せて抵当権設定登記も必要になりますので、一般には司法書士が、融資の実行のタイミングで所有権保存登記と抵当権設定登記を一括して申請します。
新築住宅の登記に必要な書類と準備すべきこと
新築登記をスムーズに行うためには、事前に必要な書類をそろえ、準備を整えておくことが重要です。
ここでは、新築住宅の登記に必要な書類を「表題登記」と「所有権保存登記」に分けて、わかりやすくご説明します。
建物表題登記に必要な書類
建物表題登記は、建物の物理的な情報を法務局に登録する登記で、通常は土地家屋調査士が担当します。以下のような書類が必要です。
所有者自身が用意する書類
◎所有権証明書
- 建築確認済証:建築確認申請が通った際に発行される書類で、建物が法律に適合していることを証明するもの。
- 検査済証:工事完了後に、建物が設計通りに施工されたことを確認する書類。
- 工事完了引渡証明書
- 請負契約書又は工事代金領収書 など
◎所有者の住民票
土地家屋調査士が作成するもの
◎建物図面・各階平面図
・土地家屋調査士が現地調査をもとに作成する図面でです。
◎委任状
・表題登記を土地家屋調査士が代理で申請するための委任状が必要になります。
所有権保存登記に必要な書類
表題登記が完了した後、司法書士が「所有権保存登記」を行います。これにより建物の名義が正式に登記簿に記録されます。以下の書類が必要です。
所有者自身が用意するもの
◎所有者の住民票
- 所有者の住所や氏名を登記簿に正確に記載するために必要です。
司法書士が取得、作成するもの
◎住宅用家屋証明書
・新築建物を自宅とする場合、登録免許税の軽減を受けるために必要です。
◎委任状
- 所有権保存登記を司法書士が代理で申請するための委任状が必要になります。
登記準備に関する実務的なアドバイス
書類はなるべく早めにまとめておく
登記には期限があるものもあり、特に表題登記は建物完成から1か月以内の申請義務があります。住民票の取得や建築確認書類の準備など、早めに行動することがポイントです。
登記の前に「住所変更」も確認
自宅を新築した場合、所有権保存登記を申請するまでに「住所変更」をしていない場合、別途、「住所変更登記」が必要になるケースもあります。司法書士に早めに相談することで、余計な手続きやトラブルを防ぐことができます。
登記の流れをわかりやすく時系列で紹介【ステップ別】
新築住宅の登記は、人生の中でもそう何度も経験することではありません。そのため、「何から始めて、どの順番で進めればいいの?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。
ここでは、新築住宅を建てたときの登記手続きの流れを、時系列に沿ってわかりやすく解説します。初めての方でも安心して登記を進められるよう、ステップごとにご紹介します。
ステップ① 建物完成・引き渡し前後の準備
まずは住宅が完成し、引き渡しを受ける直前または直後の段階です。
この時点で必要になるのが、建物表題登記の準備です。
【建物表題登記の準備】
- 所有権証明書(建築確認済証、検査済証、工事完了引渡し証明書、工事代金の領収書 など)をハウスメーカーまたは工務店から受け取ります。
- 所有者の住民票を取得します。
- 土地家屋調査士に依頼し、建物の現地調査や図面作成を行ってもらいます。
※この登記は、原則として建物完成後1ヶ月以内に申請しなければならないと法律で定められています。
ステップ② 建物表題登記の申請(調査士が担当)
次に行うのが、法務局に対する建物表題登記の申請です。
この手続きは、土地家屋調査士が代理で行うのが一般的です。
登録される内容:
- 所在地、構造、床面積、建築年月日 など
登記が完了すると、登記簿に建物が正式に記録されますが、まだ所有者名義は登録されていません。
ステップ③ 所有権保存登記の申請(司法書士が担当)
表題登記が終わると、いよいよ所有者名義を登記簿に登録する「所有権保存登記」を行います。
この手続きは、通常は司法書士が代行します。
【主な流れ】
- 表題登記が完了した建物の登記簿をもとに所有者名義を登録
- 所有者の住民票を基に申請
- 登録免許税を納付(建物の評価額に基づいて算出)
※この登記が終わると、法的に「あなたがこの建物の所有者である」と認められます。
ステップ④ 抵当権設定登記(住宅ローンを利用する場合)
住宅ローンを利用する方は、融資を受ける金融機関からの指示で、抵当権設定登記が必要になります。
この手続きも、司法書士が代行します。
【抵当権設定登記とは】
- ローンの担保として建物に「抵当権」をつける登記
- 所有権保存登記と同時に行われるのが一般的
金融機関によっては、所有権保存登記とセットで司法書士に依頼するように求められるケースも多く、実際には所有権保存登記と抵当権設定登記を同時に申請することがほとんどです。
ステップ⑤ 登記完了後、登記識別情報(権利証)の受領
登記手続きが完了すると、法務局から「登記識別情報(いわゆる権利証)」が発行されます。
【登記識別情報とは】
- 所有権を証明するための12桁の英数字のパスワード
- 将来の売却・贈与・相続のときに必要になる重要書類
この書類は、司法書士が代理で受け取り、ご本人に郵送または直接お渡しします。なくさないように大切に保管してください。
<執筆者>
司法書士 齊藤 尚行
事務所:埼玉県さいたま市岩槻区東町二丁目8番2号KUハイツ1階