商業登記

役員変更登記を忘れるとどうなる?司法書士が解説するリスクと対応策

株式会社を運営していく中で避けて通れないのが、「役員変更登記」です。しかし、日々の業務に追われる中でつい申請を忘れてしまう、あるいはそもそも登記が必要だと気付かなかった、というケースも少なくありません。

この記事では、司法書士の立場から、「役員変更登記を忘れた場合にどのようなリスクがあるのか」、「具体的にどのように対処すべきか」について詳しく解説していきます。


役員変更登記とは?司法書士が基本をおさらい

役員の「変更」とはどのような場合?

会社法において「役員」とは、取締役、代表取締役、監査役などを指します。これらの役員が「就任」または「退任」した場合には、原則として法務局への登記申請が必要です。

たとえば以下のようなケースが該当します:

  • 代表取締役の変更(交代)
  • 取締役の任期満了による再任・非再任
  • 監査役の辞任
  • 新任役員の選任

これらの変更があった場合には、変更後2週間以内に登記申請を行うことが義務付けられています。

登記申請は誰がするのか?司法書士に依頼すべき理由

登記申請は、原則として会社の代表取締役が行うものとされています。ただし、登記の専門知識や書類作成の煩雑さを考慮すると、司法書士に依頼するのが一般的です。

司法書士は、商業登記に関する法律や手続きに精通しており、申請ミスや書類不備を防ぐことができます。


役員変更登記を忘れたらどうなる?司法書士が解説する3つのリスク

① 過料(罰金)が科される可能性

もっとも一般的なリスクが、「過料」と呼ばれる行政罰です。

会社法第976条により、登記を怠った場合、代表取締役などの登記義務者に対して最大100万円以下の過料が科される可能性があります。実際には5万円〜20万円程度が多いですが、登記漏れの期間や内容により増減します。

なお、これは刑事罰ではないため前科がつくわけではありませんが、会社としての信用低下は免れません。

② 取引先・金融機関からの信用を失うリスク

登記情報は法務局を通じて誰でも確認可能です。役員変更登記がなされていないと、実際の役員構成と登記情報が食い違うことになり、取引先や金融機関の与信調査でマイナス評価となる恐れがあります。

融資の際に役員の実態確認が必要になるケースもあるため、登記不備が原因で融資審査に影響することもあります。

③ 補助金や助成金の申請ができなくなる可能性

近年、企業向けの補助金や助成金の申請において、法人の登記情報の提出を求められるケースが増えています。もし登記情報が現状と合っていなければ、申請が通らない、あるいは不正受給と見なされるリスクすらあります。


登記忘れが発覚したらどうする?司法書士に相談するメリット

登記の遅れに「時効」はない

役員変更登記に関しては、「うっかり忘れていたからもういいや」というわけにはいきません。何年経っていても、登記義務は残り続けます。放置すればするほど、過去にさかのぼって多数の登記申請が必要になり、負担も増加します。

過去の変更もまとめて対応できる司法書士

司法書士に相談すれば、過去の役員変更にさかのぼって登記申請を行うことが可能です。必要な書類の収集や議事録の作成など、手続き全般をサポートしてくれます。

とくに、複数年にわたり登記漏れがあった場合には、司法書士による正確な調査と処理が不可欠です。


役員変更登記の流れと必要書類|司法書士がサポート

1. 会社内部での決議

まず、取締役会や株主総会において、役員の選任や退任について正式に決議を行います。

2. 必要書類の準備

以下のような書類が必要です(ケースにより異なる):

  • 株主総会議事録(または取締役会議事録)
  • 就任承諾書
  • 辞任届(任期満了でない場合)
  • 印鑑証明書(必要に応じて)

司法書士は、会社の定款や過去の登記情報を確認しながら、正確な書類作成を代行します。

3. 法務局への登記申請

書類が整ったら、法務局に登記申請を行います。申請が受理されると、登記情報が更新され、完了となります。


登記忘れを防ぐために司法書士ができること

定期的な「法人登記診断」を司法書士に依頼しよう

司法書士事務所では、定期的に法人登記の内容を確認する「登記診断サービス」を提供していることがあります。これを利用すれば、役員の任期管理や変更忘れを未然に防ぐことが可能です。

任期満了のアラートを司法書士から受け取る仕組み

司法書士に継続的な顧問契約を依頼することで、役員任期が近づいたタイミングで通知を受け取れるようになります。これにより、申請期限を逃すリスクが大きく減ります。


まとめ|役員変更登記は司法書士に相談するのが安心

役員変更登記を忘れてしまうと、過料のリスクだけでなく、会社の信用や取引にも大きな影響を与えかねません。

忙しい経営者の皆さまにとって、登記手続きまで手が回らないのは無理もありません。しかし、放置してしまえば負担は増すばかりです。

司法書士は、登記の専門家として、的確かつ迅速にサポートいたします。もし、登記を忘れていた、あるいは今後の任期管理に不安があるという方は、ぜひお気軽にご相談ください。

<執筆者>
司法書士 齊藤 尚行
事務所:埼玉県さいたま市岩槻区東町二丁目8番2号KUハイツ1階