相続

相続手続きに非協力な相続人がいる場合の対処法について司法書士が解説

相続手続きは、ただでさえ煩雑で時間がかかるものですが、相続人の中に非協力的な人がいる場合には、さらに大きな障害となります。
本記事では、相続に非協力な相続人がいる場合に考えられる対応策や注意点について、司法書士の立場からわかりやすく解説します。

相続手続きにおける「非協力な相続人」とは?

遺産分割協議に応じないケース

相続人全員で行う「遺産分割協議」は、相続手続きを進める上で避けては通れません。
しかし、相続人の中には、

  • 書類に署名・押印しない
  • 他の相続人との連絡を拒否する
  • 遺産の内容に不満を持ち、協議を引き延ばす

といった行動をとる方がいます。このような場合、相続手続きが滞ってしまい、不動産の名義変更や預貯金の解約が進められないという問題が発生します。

相続人の所在不明や連絡不能な場合

さらに厄介なのが、「行方不明の相続人」や「連絡がつかない相続人」がいるケースです。
長年疎遠で連絡先が不明な場合や、海外に居住していて書類のやり取りが困難な場合もあります。

非協力な相続人がいる場合の主な対応方法

1. 親族や弁護士を介した交渉

相続人同士での話し合いが難航する場合は、相続人ではない親族や弁護士などの第三者に間に入ってもらうことをおすすめします。
第三者が介入することで、感情的な対立が緩和され、冷静な話し合いが可能になります。

また、専門家が作成する「遺産分割協議書」は法的にも有効であり、のちのトラブル防止にもつながります。

2. 家庭裁判所への調停申立て

どうしても合意に至らない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。
この調停では、中立な調停委員が間に入り、各相続人の意見を聞きながら話し合いを進めていきます。

調停が不成立の場合には、最終的に審判(裁判所による判断)により遺産分割が行われることになります。

3. 不在者財産管理人の選任申立て

相続人の一人が「行方不明」である場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てることが可能です。
この管理人が、行方不明者の代わりに遺産分割協議に参加することで、手続きを進めることができます。

ただし、この場合にも裁判所の許可が必要になるなど、一定の手続きが求められます。

4. 相続放棄や代襲相続の確認も重要

非協力な相続人がすでに相続放棄をしている可能性もあります。相続放棄は家庭裁判所に申述し、受理されている必要があります。

また、すでに亡くなっている相続人がいる場合、その子どもなどが代襲相続人として手続きに関わることになります。
このような場合にも、誰が正確な相続人なのかをしっかり把握することが必要です。

非協力的な相続人がいることによるリスク

相続登記の遅れによる不利益

不動産の名義変更(相続登記)が遅れてしまいます。登記がされないまま放置されると、売却や担保設定ができないばかりか、トラブルが相続人の次世代に持ち越されるリスクもあります。さらに、2024年の法改正により相続登記は義務化され、正当な理由なく怠れば過料の対象にもなります。

財産の管理が困難に

預貯金の解約や不動産の名義変更といった手続きが進められなくなります。その結果、財産の管理が滞り、固定資産税の支払いが遅れたり、不動産が空き家となって劣化するなど、資産価値が損なわれる恐れがあります。また、口座凍結が長引くと、生活費や葬儀費用の捻出にも影響することがあります。

親族間の関係悪化

相続手続きでは、相続人全員の同意が求められるため、一人でも非協力的な相続人がいると話し合いが進まず、他の相続人との間に不満や不信感が生まれがちです。「なぜ協力してくれないのか」「自分だけ得をしようとしているのでは」といった疑念が積み重なり、長年築いてきた親族関係が一気に崩れることも少なくありません。相続はお金の問題であると同時に、感情の問題でもあります。関係が悪化する前に、第三者を介入させ、冷静で公平な話し合いの場を設けることが、円満な相続への第一歩となります。

司法書士にできるサポートとは?

司法書士は、以下のような場面で相続手続きのサポートが可能です。

  • 相続人調査(戸籍収集・法定相続情報一覧図の作成)
  • 遺産分割協議書の作成
  • 不動産の名義変更(相続登記)
  • 家庭裁判所の手続きサポート(不在者財産管理人の申立書作成など)

また、必要に応じて弁護士と連携し、調停や訴訟が必要な場面でも一貫してサポートが可能です。

まとめ:トラブルが起きる前に、早めの相談を

相続手続きにおいて、非協力的な相続人がいる場合でも、冷静に適切な手順を踏めば解決に向かうことが可能です。
最も大切なのは、「早めに専門家へ相談すること」です。
「誰に相談すればよいかわからない」「何から手をつけていいか不安」という方も、お気軽にご相談ください。

相続でお困りなら、まずは当事務所までご相談ください。司法書士が丁寧にヒアリングし、あなたの状況に合わせた最適なアドバイスをご提供します。

<執筆者>
司法書士 齊藤 尚行
事務所:埼玉県さいたま市岩槻区東町二丁目8番2号KUハイツ1階