令和6年から始まった相続登記の義務化により、不動産の相続に対する意識は大きく変化しました。
これまで相続登記は「急がなくてもよい手続」と考えられがちでしたが、義務化によって期限と責任が明確になり、司法書士事務所への相談が急増しています。
特に、相続登記義務化のニュースをきっかけに、初めて登記簿を確認し、「思っていたよりも問題が大きい」と気づいた方から、司法書士への相談が相次いでいます。
相続登記義務化は、単なる制度改正にとどまらず、長年放置されてきた相続問題を顕在化させる契機となっています。
相続登記義務化の概要と司法書士の役割
相続登記が義務になった背景
相続登記義務化は、全国で増え続ける所有者不明土地の解消を目的として導入されました。
相続が発生しても登記がされないまま年月が経過し、誰が所有者かわからない土地が社会問題となっていたためです。
この制度改正により、不動産を相続した場合には、正当な理由がない限り、期限内に相続登記を行うことが法律上の義務となりました。
これにより、司法書士が相続手続に関与する重要性は、これまで以上に高まっています。
相続登記義務化で司法書士が果たす役割
相続登記義務化により、司法書士は単に登記書類を作成するだけの存在ではありません。
- 相続関係の調査と整理
- 必要書類の収集と確認
- 相続人構成の把握
- 将来の相続トラブルを見据えた助言
など、相続全体を俯瞰する専門家としての役割を担っています。
相続登記義務化で増えた代表的な相談内容
何代も前の相続が未登記だったケース
司法書士への相談で特に多いのが、
「今回の相続だけの問題だと思っていたが、名義が祖父や曾祖父のままだった」というケースです。
相続登記義務化によって登記簿を確認した結果、数十年前の相続が未処理のまま残っていたことが判明し、司法書士が複数世代にわたる相続整理を行う必要が生じています。
相続人が多数になっている相談
相続登記を長期間放置した結果、
- 相続人が10人以上に増えている
- 連絡が取れない相続人がいる
- 相続人の中にすでに亡くなっている方がいる
といった相談も、司法書士事務所では珍しくありません。
このようなケースでは、司法書士による戸籍調査と法的整理が不可欠です。
相続登記の期限や罰則に関する相談
相続登記義務化に伴い、
- いつまでに相続登記をすればよいのか
- 期限を過ぎた場合の過料はどうなるのか
- すでに相続から年数が経過している場合の対応
といった、具体的で切迫した相談が司法書士に多く寄せられています。
制度への正しい理解を促すことも、司法書士の重要な役割です。
相続登記義務化で表面化した新たな問題
遺産分割がまとまっていない相続
相続登記義務化をきっかけに、
- 遺産分割協議を一度もしていない
- 相続人同士の話し合いが止まっている
といった問題が表面化するケースも増えています。
司法書士は、法的な整理を通じて、相続登記が可能な状態へ導く支援を行います。
「使っていない」不動産の相続の相談
相続登記義務化により、
「誰も住んでいない家でも登記が必要なのか」
「山林や原野でも相続登記をしなければならないのか」
といった相談も司法書士に多く寄せられています。
不動産の利用状況にかかわらず、相続登記が必要である点は、誤解されやすいポイントです。
相続登記義務化後の相談で司法書士が重視するポイント
早期相談が結果的に負担を軽減する
相続登記義務化では期限が明確になったため、早期に司法書士へ相談することで、精神的・時間的負担を大きく減らすことができます。
問題が複雑化する前に着手することが、結果的に費用や手間を抑えることにもつながります。
相続登記だけで終わらせない視点
司法書士は、
- 次の相続への備え
- 不動産を含めた名義整理
- 相続後の管理リスク
まで含めてアドバイスを行います。
相続登記義務化は、将来の相続対策を考える良い機会ともいえるでしょう。
相続登記義務化時代に司法書士へ相談するメリット
複雑な相続関係を整理できる
司法書士に相談することで、戸籍収集から相続関係説明図の作成、登記申請までを一括して任せることができます。
相続登記義務化によって複雑化した案件ほど、司法書士の専門性が発揮されます。
正確で安心できる手続が可能
制度改正後の相続登記は、誤解や思い込みによるミスが起こりやすい分野です。
司法書士に依頼することで、最新の制度に基づいた、正確で安心できる相続手続を進めることができます。
相続登記義務化をきっかけに司法書士へ相談を
相続登記義務化により、不動産相続は「放置できない問題」となりました。
その一方で、これまで表に出なかった相続問題が一気に顕在化し、不安を感じている方も増えています。
相続登記義務化に関して少しでも不安がある場合は、早めに司法書士へ相談することで、問題を整理し、将来への安心につなげることができます。
司法書士は、相続登記義務化時代における、最も身近で心強い専門家といえるでしょう。
<執筆者>
司法書士 齊藤 尚行
事務所:埼玉県さいたま市岩槻区東町二丁目8番2号KUハイツ1階