遺言

遺言執行者に司法書士を選ぶメリットとは?

はじめに:遺言執行者とは?

相続対策として遺言書を作成する方が増えている中で、「遺言執行者(いごんしっこうしゃ)」という存在が重要になっています。遺言執行者とは、遺言書の内容を実現するために、実際の手続きを行う人物です。

たとえば、不動産の名義変更や銀行口座の解約・払戻し、財産分配など、相続手続きには煩雑で専門的な知識が求められます。そこで、近年では司法書士を遺言執行者に指定するケースが増えています。

この記事では、遺言執行者に司法書士を選ぶメリットや注意点について、司法書士の視点からわかりやすく解説します。

遺言執行者が必要となる理由

相続手続きは複雑かつ時間がかかる

遺言書を作成しただけでは、相続が自動的に行われるわけではありません。遺言書の内容に基づいて、実際に財産を分けるためには、法律上の手続きが必要です。

銀行や証券会社、法務局、市区町村役場など、複数の機関に対応する必要があり、相続人が高齢だったり、忙しかったりする場合には大きな負担になります。

そこで、司法書士を遺言執行者に選ぶことで、これらの煩雑な手続きをすべて専門家に任せることができるのです。

相続人同士のトラブルを防止

相続では、遺産の分け方をめぐって感情的な争いが生じることがあります。遺言書に沿って財産を分けるにしても、「誰がそれを実行するのか」という点で揉めるケースも少なくありません。

この点でも、中立・公正な第三者である司法書士が遺言執行者として関わることで、相続人同士のトラブルを未然に防ぐことができます。

遺言執行者に司法書士を選ぶ5つのメリット

1. 専門的な法律知識が豊富

司法書士は、相続や登記、不動産、会社法務などの分野に精通した国家資格者です。相続登記や遺産分割協議書の作成、法定相続情報一覧図の作成など、相続に関連する実務をワンストップでサポートできます

そのため、法律的な観点からも正確でトラブルの少ない手続きが可能となります。

2. 実務経験が豊富で安心

司法書士は日々、多くの相続案件を取り扱っているため、様々なケースに対応できるノウハウがあります。相続財産が不動産中心なのか、金融資産が多いのか、あるいは借金が含まれているのかによって、適切な対応が求められます。

経験豊富な司法書士であれば、複雑な相続にも柔軟に対応可能です。

3. 相続登記までスムーズに対応

相続財産に不動産が含まれている場合は、相続登記が必要不可欠です。遺言執行者が司法書士であれば、登記手続きをそのまま一括で行うことができます。

他の専門家(例:弁護士や税理士)に依頼した場合でも、登記業務は司法書士に再委託されることが一般的です。それならば、初めから司法書士に依頼することで、費用と時間を節約できます。

4. 中立的な立場でトラブル回避

司法書士は、相続人の一員ではない第三者としての中立性を保ちながら、冷静かつ公平な立場で業務を遂行できます。

たとえば、遺産分割協議の場面では、感情的な対立が生じがちです。司法書士が間に入ることで、感情に左右されないプロの視点でスムーズな相続を実現できます。

5. 費用が明確で安心

司法書士報酬は比較的明確で、事前に見積もりが提示されるケースが多くあります。また、弁護士などと比べても費用が抑えられる傾向があるため、コストパフォーマンスの高い相続支援が可能です。

司法書士に遺言執行を依頼する際の流れ

① 遺言書の作成時に司法書士へ相談

遺言書を作成する段階から司法書士に相談することで、スムーズな手続きが実現します。公正証書遺言の作成支援も司法書士が対応可能です。

この段階で、「遺言執行者に◯◯司法書士を指定する」と記載しておくことがポイントです。

② 遺言者の死亡後、執行者として手続きを開始

被相続人が亡くなると、司法書士は遺言執行者として正式に手続きを開始します。家庭裁判所の検認が必要な場合にも、司法書士がその手続きのサポートが可能です。

③ 財産目録の作成・手続きの実行

財産の調査を行い、財産目録を作成します。不動産の登記変更、預貯金の解約・払い戻しなど、遺言内容に基づいて着実に手続きを進行していきます。

遺言執行者を指定しなかった場合のリスク

遺言書に遺言執行者の記載がない場合、相続人が遺言内容を実行する必要がありますが、知識や手続きが不足していることで相続がスムーズに進まない可能性があります。

また、相続人の一人が主導で進めると、他の相続人から「勝手にやっている」と反感を買い、トラブルの火種になりやすくなります。

遺言執行者として司法書士を指定しておくことで、第三者による公平な手続きが実現し、相続人間の関係悪化を防ぐことができるのです。

よくある質問(Q&A)

Q. 遺言執行者は家族でもよいのでは?

A. 可能ではありますが、家族が手続きを理解し実行するのは非常に大変です。中立性や実務の正確性を考慮すれば、司法書士のような専門家に任せることが安心です。

Q. 司法書士に遺言執行を依頼する費用は?

A. 事務所によって異なりますが、10万円~30万円程度が一般的です。財産の規模や手続きの内容に応じて見積もりを出すことが可能ですので、まずはご相談ください。

Q. 生前から依頼しておくことは可能ですか?

A. はい、可能です。遺言書作成と同時に、遺言執行者として司法書士を指定しておくことをおすすめします。相談は無料対応している事務所も多いため、まずはお気軽にお問い合わせください。

まとめ:司法書士は相続手続きの心強いパートナー

遺言執行者に司法書士を選ぶことで、相続手続きがスムーズかつ確実に進行し、相続人間のトラブルを防ぐことができます。登記や法律実務に強い司法書士なら、専門性と中立性を兼ね備えた安心感があります。

遺言書の作成をお考えの方や、相続対策を進めたい方は、ぜひ一度、司法書士へご相談ください。当事務所では、経験豊富な司法書士が丁寧にサポートいたします。

<執筆者>
司法書士 齊藤 尚行
事務所:埼玉県さいたま市岩槻区東町二丁目8番2号KUハイツ1階