相続

再婚・前妻との子がいる場合の相続問題と対策|司法書士が教える“もめない相続”の進め方

再婚家庭における相続は、なぜトラブルが多いのか?

再婚や事実婚など、家族の形が多様化している現代では、「再婚相手とその連れ子」「前妻(前夫)との間の子ども」など、複雑な関係性の中で相続問題が発生するケースが増えています。

司法書士として多くのご相談を受けている中でも、再婚家庭における相続のトラブルは非常に頻繁に起こる問題の一つです。
当事者間の関係性や感情のもつれに加え、法律の知識不足が問題を複雑にするため、司法書士のような専門家の関与が不可欠となる場面が多くあります。

この記事では、「前妻との子どもがいる場合の相続」の基本と、トラブルを回避するための対策について、司法書士の視点からわかりやすく解説します。


基本知識|再婚・前妻との子どもにも相続権はある

法律上の「子ども」は平等に相続権を持つ

民法では、婚姻関係の有無にかかわらず、「実子」であれば法定相続人としての地位を持ちます。
つまり、再婚後に生まれた子も、前妻(または前夫)との間に生まれた子も、同じ相続権を持つということです。

例えば、以下のような構成を考えてみましょう。

  • 被相続人(父)
  • 現在の妻(再婚)
  • 前妻との間に子ども1人
  • 再婚後の子ども2人

この場合、法定相続分は以下のようになります。

  • 配偶者(再婚相手):1/2
  • 子ども3人(前妻の子・再婚後の子):残り1/2を3人で等分=1/6ずつ

トラブルになりやすい具体的なケース

ケース1|前妻との子どもと現妻が直接連絡を取れない

離婚後、長年会っていなかった前妻との子どもが、父の死後に突然連絡をしてくる——
これは司法書士が非常によく耳にする相続トラブルの一例です。

現妻や再婚後の子どもたちとの関係がなく、連絡がスムーズに取れないと、遺産分割協議書を作成するための署名・押印を得るのに時間と労力がかかります。

このような場合、司法書士が中立な立場で連絡調整や書類のやりとりを行うことで、当事者同士の直接対立を回避することができます。


ケース2|遺産分割協議でもめる

前妻との子どもも相続人の一人である以上、遺産分割協議には全員の合意が必要です。

ところが、

  • 遺産の内容が不明瞭(不動産・預金など)
  • 特定の相続人に偏った生前贈与があった
  • 遺言が曖昧

といった状況だと、相続人同士の主張がぶつかり、協議が進まなくなります。

司法書士が関与することで、財産調査・相続関係説明図の作成・遺産分割協議書の作成などを円滑に行うことが可能になります。


ケース3|遺言書がない、もしくは不備がある

司法書士として最も多く見かける相続トラブルの原因が、「遺言書がない」「遺言書が無効になる」ケースです。

特に、再婚家庭では「家族の形が複雑」なため、遺言による意思表示がとても重要です。

しかし、

  • 法的に無効な遺言書
  • 感情的な内容で法定相続人を排除している
  • 誤字脱字が多い
  • 書き方が不明瞭

といった遺言は、かえってトラブルの元となります。

司法書士に相談すれば、法的に有効な遺言書の作成支援や、公正証書遺言の手続きのサポートが受けられます。


司法書士ができる具体的なサポート内容

再婚・複雑な家族構成の相続では、司法書士の専門知識が欠かせません。
具体的には、以下のようなサポートが可能です。


相続関係の整理(法定相続情報一覧図の作成)

相続人が複数いて関係が複雑な場合、戸籍収集と法定相続情報一覧図の作成は非常に重要です。
司法書士が行えば、役所から必要な戸籍を正確に取り寄せ、相続関係を「見える化」して手続きをスムーズに進められます。


遺産分割協議書の作成

協議書には法的な要件があり、形式や記載方法に不備があると登記ができない、金融機関に提出できないといった問題が生じます。

司法書士は、中立な立場で全員の意見をまとめ、正式な遺産分割協議書を作成することができます。


相続登記の手続き代行

不動産の相続には、登記の名義変更手続きが必須です。
2024年からは、相続登記が義務化され、放置すると過料のリスクも。

司法書士は、相続登記の専門家として、正確かつ迅速に手続きを代行できます。


トラブルを防ぐためにやるべき「生前の対策」

遺言書を作成しておく

再婚家庭では、誰に何を相続させるのか、明確に意思を残しておくことが重要です。
司法書士が関与することで、無効にならないような遺言書の作成が可能になります。


家族信託の活用

認知症などによる判断能力の低下を見越して、家族信託を活用して資産管理を託すという方法もあります。
司法書士は、信託契約書の作成など家族信託の実務にも精通しており、事前対策の一つとして有効です。


まとめ|複雑な相続は司法書士に相談を

再婚家庭、前妻との子どもがいる場合の相続は、感情と法律が交錯しやすい非常にデリケートな問題です。

トラブルになってからでは解決に時間も費用もかかるため、早めの準備と専門家である司法書士への相談が不可欠です。

司法書士は、

  • 相続人調査
  • 遺言書作成支援
  • 相続登記
  • 遺産分割協議書の作成
  • 家族信託の設計

など、相続全般をトータルでサポートします。

<執筆者>
司法書士 齊藤 尚行
事務所:埼玉県さいたま市岩槻区東町二丁目8番2号KUハイツ1階