相続

相続で揉めない家族の特徴とは?司法書士が見てきた円満な相続の共通点

相続は、すべての家庭に必ず訪れる出来事です。しかし、その相続が「家族の絆を再確認する機会」になるか、「関係を壊すきっかけ」になるかは、家庭ごとに大きく異なります。

司法書士として相続手続きを数多くサポートしてきた中で感じるのは、相続で揉める家族と揉めない家族には、はっきりとした違いがあるということです。
相続で揉める家族は決して特別ではなく、準備不足や思い込みによって、誰でも当事者になり得ます。

本記事では、司法書士の視点から、相続で揉めない家族の特徴を丁寧に掘り下げるとともに、円満な相続を実現するために今からできる具体的な相続対策について解説します。


相続トラブルはなぜ起こるのか

相続で揉めない方法を考える前に、まずは相続トラブルが起こる理由を整理する必要があります。

相続は「思い込み」で始まることが多い

相続では、「自分は長男だから多く相続できる」「親の面倒を見たのは自分だから評価されるはずだ」といった根拠のない期待が生まれがちです。しかし、相続は民法という法律に基づいて進められる手続きであり、感情や立場がそのまま反映されるわけではありません。

この認識のズレが、相続人同士の不満や対立を引き起こします。

相続は感情と時間が絡み合う

相続は、親の死という大きな出来事と同時に発生します。そのため、冷静な判断が難しく、感情が先行しやすいのが特徴です。さらに、相続手続きを放置すればするほど、不信感や不満が積み重なり、相続トラブルは深刻化していきます。


相続で揉めない家族の共通点

では、相続が円満に進む家族には、どのような共通点があるのでしょうか。

相続について「話してはいけないもの」と考えていない

相続で揉めない家族は、相続をタブー視していません。
「もし相続が発生したらどうするか」「財産はどのくらいあるのか」といった話題を、生前から自然に共有しています。

相続の話を避けてしまうと、相続開始後に初めて問題が表面化します。日常的に相続について話せる関係性があること自体が、相続トラブルを防ぐ最大の要素です。

相続財産が整理・把握されている

相続財産が不明確な状態では、「まだ隠している財産があるのではないか」「自分だけ知らされていないのではないか」といった疑念が生まれます。

相続で揉めない家族は、

  • 不動産
  • 預貯金
  • 有価証券
  • 借入金などの負債

といった相続財産を整理し、全体像を把握しています。

相続を「平等」ではなく「納得」で考えている

相続で揉めない家族は、単純な均等分割にこだわりません。法律上の相続分を基準にしつつも、「全員が納得できる相続」を目指しています。この姿勢が、結果的に相続トラブルを防ぎます。


遺言書がある相続はなぜ揉めにくいのか

相続対策の中で、遺言書は非常に重要な役割を果たします。

遺言書は被相続人の意思を明確にする

遺言書がある相続では、「親はどう考えていたのか」という疑問が解消されます。被相続人の意思が明確であることは、相続人同士の感情的対立を大きく減らします。

相続手続きがシンプルになる

遺言書がある場合、遺産分割協議が不要になるケースもあり、相続手続き全体がスムーズに進みます。結果として、相続にかかる時間や精神的負担が軽減されます。


生前対策をしている家族は相続に強い

相続で揉めない家族は、相続が発生する前から行動しています。

生前贈与・家族信託による相続対策

生前贈与や家族信託を活用することで、相続財産の承継先を明確にできます。これにより、相続開始後の混乱を防ぐことができます。

不動産相続の事前準備が重要

不動産は分割が難しく、相続トラブルの原因になりやすい財産です。売却するのか、誰が取得するのかを事前に決めておくことで、相続時の対立を防げます。


相続手続きを放置することの大きなリスク

相続手続きを後回しにすることは、さまざまな問題を引き起こします。

相続人が増え、手続きが複雑化する

相続登記をしないまま放置すると、次の相続が発生し、相続人が増えてしまいます。その結果、相続手続きが非常に困難になります。

相続トラブルの火種が残り続ける

相続を放置することは、「いつか揉める可能性」を残し続けることでもあります。相続で揉めないためには、早期の対応が欠かせません。


相続で揉めないために司法書士が果たす役割

司法書士は、相続に関する実務と法的整理を担う専門家です。

相続手続きを一括でサポート

相続登記、遺産分割協議書の作成、相続関係説明図の作成など、相続に関する煩雑な手続きをまとめて支援します。

中立的な第三者としての安心感

司法書士が間に入ることで、相続人同士が直接対立する場面を減らすことができます。これは、円満な相続を実現するうえで非常に大きな意味を持ちます。


まとめ|相続で揉めない家族になるために今できること

相続で揉めない家族には、

  • 相続について話し合える関係性
  • 生前からの相続対策
  • 相続を先延ばしにしない意識
    という共通点があります。

相続は突然やってきます。だからこそ、元気なうちから準備をすることが、家族を守る相続対策になります。
相続に不安を感じたら、早めに司法書士へ相談することが、円満な相続への第一歩です。

<執筆者>
司法書士 齊藤 尚行
事務所:埼玉県さいたま市岩槻区東町二丁目8番2号KUハイツ1階